歯周病で歯が抜けてしまった、ほとんどの歯がグラグラしているなど、歯周病の方にとっても、オールオン4はメリットのある選択肢です。
しかし、「歯周病でもオールオン4はできるの?」「感染が広がらないか不安」と感じる方も少なくありません。
実際、歯周病は顎の骨が吸収する病気であるため、インプラント治療に影響することがあります。
この記事では、歯周病とオールオン4の関係、治療前に注意すべきポイント、そして歯周病の方でもオールオン4を受けられるケースについて詳しく解説します。
歯周病とオールオン4の関係
歯周病はインプラント治療に
影響する
歯周病は、細菌によって歯を支える歯槽骨が溶けていく病気です。
オールオン4で使用するインプラントは、この歯槽骨の中に埋め込むため、骨量が少なかったり炎症が残っていると、安定して固定できません。
そのため、進行した歯周病がある場合は、まず感染源を取り除くことが大切です。
インプラントも感染を起こす
人工歯根であるインプラント自体は虫歯にはなりませんが、周囲の歯肉や骨は天然歯と同じように炎症を起こす可能性があります。
これをインプラント周囲炎と呼び、放置すると歯周病と同じように骨が溶けてしまいます。
そのため、オールオン4を行っても、日々の清掃と定期メンテナンスが欠かせません。
歯周病を治療してから
オールオン4を行うのが原則
歯周病があるままインプラント手術を行うと、細菌が骨に感染し、手術の失敗を招く恐れがあります。
そのため、治療の流れとしては、歯周病の改善 → 骨や歯肉の回復 → オールオン4手術の順番で行うことが基本となります。
歯周病がある人は
どのように
オールオン4を行う?
重度の歯周病で歯を残せない場合
重度歯周病でほとんどの歯がグラグラしている場合は、無理に歯を残すよりもまず抜歯して感染源を完全に除去し、その上でオールオン4を行うケースが多く見られます。
この段階では、歯肉の中に膿がたまっていたり、骨が大きく吸収していたりすることが少なくありません。
そのままではインプラントを固定できないため、手術時に骨の形を整えたり、人工骨材を併用して再生を促す処置を同時に行うこともあります。
一度に感染源を取り除くため、結果的に再発リスクが下がり、清潔な環境でインプラントを長く維持できるようになります。
軽度〜中等度の歯周病の場合
歯肉がまだしっかりしており、骨の吸収も部分的な場合でも、まず歯周治療を行って炎症を落ち着かせた上でオールオン4に移行します。
歯肉の出血や腫れがなくなり、安定した状態になればインプラント埋入の準備が整います。
軽度の歯周病であっても、放置すると再び骨が溶けることがあるため、歯科医院での管理下で計画的に治療を進めることが大切です。
骨の再生治療を併用する場合
歯周病で骨が大きく失われている場合でも、骨造成という再生療法を組み合わせることでオールオン4を行えることがあります。
GBRは人工膜や骨補填材を使って新しい骨の再生を促す方法で、顎骨の高さや幅を回復させるのに有効です。
上顎の骨が薄い場合には、サイナスリフトなどで骨の高さを増やすこともあります。
これらの処置を併用すると治療期間は数ヵ月延びますが、結果的にインプラントの安定性が向上し、長期的に安心して使用できます。
骨量の不足を理由にオールオン4を諦める前に、再生治療の可否を歯科医師に相談してみるとよいでしょう。
「骨造成」とは?歯周病の人が
オールオン4を受ける前の
準備
正確な診断
まずはCT撮影やパノラマレントゲン、歯周ポケット検査などによって、歯を支える骨や歯肉の状態を調べます。
見た目に腫れがなくても、骨が深くまで溶けていることは珍しくありません。
また、骨の密度や神経、血管の位置も手術計画に関わるため、3次元的に把握しておくことが安全な治療につながります。
感染源の除去とクリーニング
歯周病菌は口の中のあらゆる場所に潜んでおり、抜歯後にも感染を再発させる可能性があります。
そのため、手術前にクリーニングを行い、口腔内の細菌数を減らしておくことが重要です。
歯石除去だけでなく、舌や頬の粘膜のケア、口臭や膿の原因となるポケットの洗浄も含まれます。
また、抗菌薬の投与やレーザー治療を行うことで、口腔内を清潔な状態に保つケースもあります。
生活習慣の改善
喫煙、糖尿病、ストレスなどは歯周病とインプラント治療の大敵です。
喫煙は血流を悪化させ、インプラントと骨の結合を妨げることがわかっています。
糖尿病の場合は血糖値が高い状態だと感染が起きやすいため、主治医と連携して数値を安定させてから手術を行います。
また、睡眠不足や偏った食事も免疫力を下げる要因になるため、規則正しい生活を整えることが成功率を上げるポイントです。
歯周病の方が
オールオン4を受けた後の
注意点
インプラント周囲炎を防ぐ
メンテナンス
オールオン4は多くの歯を一体型の人工歯で支える構造のため、歯肉との境目に汚れが溜まりやすい傾向があります。
定期的なプロフェッショナルクリーニングと、歯科衛生士によるチェックを受けることで、炎症の再発を防ぎましょう。
正しいブラッシングと
清掃補助用具の使用
デンタルフロスや歯間ブラシを使い、人工歯の下部や支台部分の汚れを丁寧に落とします。
歯ブラシは細部まで届くものを選ぶのがポイントです。ワンタフトブラシなど、頭が小さいブラシを使用しても良いでしょう。
定期検診の間隔を守る
手術後1年以内は3ヵ月ごと、その後も半年ごとのメンテナンスを継続することが良いとされます。
自覚症状がなくても、早期発見、早期対応がインプラントの寿命を延ばすことにつながります。
再発リスクを抑える生活習慣
喫煙やストレス、過度な飲酒は炎症を悪化させます。
バランスの取れた食生活と規則正しい生活習慣を意識することで、長期的に健康な状態を維持できます。
オールオン4のメインテナンス費用歯周病の方が
オールオン4にするメリット
感染源となる歯を全て除去できる
重度の歯周病では、歯を支える歯槽骨が大きく溶けてしまい、残っている歯も次々にぐらついたり、炎症を繰り返したりすることがあります。
そのような状態で部分的な治療を続けても、根本的な改善は難しく、再発のリスクが高いことが多いです。
オールオン4では、感染源となる歯をすべて抜歯し、清潔で健康な歯肉と骨の状態にリセットしてから治療を行うため、炎症の再発を防ぎやすくなります。
結果として、口臭や膿、出血といった不快な症状もなくなり、清潔な口腔環境を保ちやすくなる点が大きなメリットです。
少ない本数で全体を支える構造
オールオン4は、片顎に最少4本のインプラントを戦略的に埋め込み、その上に12本前後の人工歯列を固定する治療法です。
インプラントを後方に傾斜埋入することで、骨が少ない方でも安定した支持を得られるのが特徴です。
通常のインプラントのように多数本を埋め込む必要がないため、手術の負担を少なくでき、費用や治療期間も抑えられます。
また、少ない本数でも噛む力が均等に分散されるため、強い噛みしめや硬い食べ物にも対応でき、天然歯に近い安定した咬合力が得られます。
歯周病が再発しにくい環境にできる
オールオン4では、天然歯の歯根全てが除去されているため、プラークや歯石が溜まりにくく、炎症が再発するリスクを大幅に減らすことができます。
さらに、人工歯と歯肉の境目の形状が清掃しやすく設計されており、毎日のブラッシングや歯科医院でのメンテナンスもスムーズです。
歯周病で悩んできた方にとって、再発を恐れずに長く健康な口腔状態を維持できるという点は、非常に安心材料となります。
見た目と機能を同時に回復できる
オールオン4は、単に噛めるようにする治療ではありません。歯肉のラインや顔全体のバランスも考慮して設計されるため、治療後の見た目が良いのが特徴です。
長年の歯周病によって痩せてしまった歯肉や骨も、設計によって自然なボリュームを出せるため、ほうれい線の改善や口元のリフトアップ効果も期待できます。
また、固定式の人工歯なので、総入れ歯のようなズレる、外れるといった不快感もなく、しっかり噛んで食事を楽しむことができます。
会話中の発音も安定し、笑顔に自信が持てるようになるなど、見た目と機能の両面で生活の質が向上します。
治療後のメンテナンスがシンプル
歯周病の治療を続けていると、歯の動揺や炎症の再発などで何度も通院が必要になることがあります。
オールオン4に切り替えることで、治療後は定期的なクリーニングとチェックのみで、長期的に安定した状態を維持できます。
メンテナンス性の高さは、歯周病の再発を防ぐだけでなく、将来の医療費の削減にもつながります。
オールオン4の歯科選びのポイント歯周病があっても、
適切な治療で
オールオン4は可能
歯周病があるからといって、オールオン4を諦める必要はありません。
歯周病の治療と感染管理をしっかり行い、骨の状態を整えた上で計画的に進めれば、十分に成功が見込めます。
むしろ、重度の歯周病で歯を失った方こそ、オールオン4によって健康的な口腔環境を取り戻せる可能性があります。
大切なのは、歯周病治療からインプラント埋入、そしてメンテナンスまでを一貫して行える歯科医院を選ぶことです。
治療前の正確な診断と、治療後の丁寧なケアこそが、長く快適に噛める口元への第一歩となります。
インプラントについて
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セカンドオピニオンとは、患者さんがより良い歯科治療を受けようとされる際に、複数の医師に意見を求め、今後の治療や医院選びの参考にしていただくことを目的とします。
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総責任者・担当医について
院長
藤井 政樹
東京医科歯科大学出身/
博士号 取得ドクター
ITI公認インプラントスペシャリスト
(認定医)
当院長は、インプラント治療の世界的な専門家医とされる『ITI公認インプラントスペシャリスト(認定医)』を持つ歯科医師です。東京医科歯科大学歯学部附属病院にて最先端の治療の研鑽を積み、また、歯科医師の先生方に向けた教育・指導者としての役割を担ってまいりました。難症例を含む様々な相談実績、治療経験が豊富にございます。
当院では、通常では大学病院で行うようなケースにおいても、医学的根拠に基づき安全性・確実性を最大限に高めたインプラント治療を行うことが可能です。
藤井 政樹院長は、歯科医師人生の99%をインプラント治療に捧げてまいりました。それら経験を活かし、患者さん一人ひとりのお悩み解決に役立てるよう親身にお応えしております。
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