
奥歯が抜けてしまった時、そのままでもいいかなと思って放置していませんか?
しかし、奥歯は食事の際に大きな力を受け止める役目があり、放置することで咀嚼能力の低下を引き起こす恐れがあります。
そんな奥歯の欠損治療としてメリットが多いのがインプラント治療です。
天然歯に近い感覚で噛むことができるため、多くの方に選ばれています。
この記事では、奥歯のインプラントの特徴や費用相場、治療の適応かどうかの判断基準、そして選ばれる理由となる4つのメリットまで、詳しく解説していきます。
奥歯のインプラント、
前歯のインプラント

インプラント治療は、抜けた歯の代わりに人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。
前歯でも奥歯でも治療は可能ですが、それぞれに求められる役割が異なります。
前歯のインプラントについて詳しく知りたい方はこちら
奥歯のインプラントの特徴

- 力がかかる
- 審美面は前歯ほど気にかけない方が多い
- 元々の歯は根が複数本である
力がかかる
奥歯は咀嚼の主役ともいえる歯です。
硬いものを噛んだり、すり潰したりする際には強い力が必要です。
人が食べ物を噛むときの咬合力は、前歯では20kg程度ですが、奥歯では最大で50kg以上に達することもあります。
こうした力に耐えうる構造が奥歯のインプラントには求められるため、使用するインプラントの設計はそれに適したものでなくてはなりません。
また、咬合力を分散させるために、奥歯には2本以上のインプラントを並べて支える場合もあります。
審美面は前歯ほど
気にかけない方が多い
奥歯はあまり目立たない位置にあります。
そのため、前歯のインプラントで求められるような色調の自然さ、形状の繊細な再現などは、それほど重視されない傾向にあります。
しかし、患者様ができるだけ自分の歯と見分けがつかないようにしたいと希望する場合は、奥歯でも審美性の高い素材を使用することがあります。
また、奥歯の補綴物が不自然な形状や材質で作られていると、舌や頬に違和感を感じることもあるため、見た目よりも装着感の自然さや違和感のなさにこだわるケースも少なくありません。
元々の歯は根が複数本である
奥歯、特に大臼歯と呼ばれる部位には、自然な状態で2本から3本の歯根が存在します。 これにより、大きな咬合力を広い面積で支える構造になっています。
一方、インプラントでは通常1本の人工歯根で支えるため、それを補うための工夫が必要です。 具体的には、太さや長さが十分にあるインプラントを選定すること、また骨の質や量に応じて埋入角度を細かく調整することなどが求められます。
さらに、上顎の奥歯では上顎洞がすぐ上にあるため、骨の高さが不足している場合はサイナスリフトやソケットリフトといった骨造成術が併用されることもあります。
これらの処置を行うことで、奥歯のインプラントも長期間にわたって安定した状態を保つことが可能になります。
奥歯にインプラントを入れる
メリット

- しっかり噛める
- 他の歯に負担をかけない
- 骨が痩せるのを防ぐ
- 長持ちする
しっかり噛める
インプラントは顎の骨に直接固定される構造を持つため、天然歯に近い咀嚼力を発揮します。
これにより、入れ歯でありがちな噛んだときのグラつきや噛むと痛いといった不快感がなく、ストレスなく食事を楽しむことが可能になります。
特に、硬い食材や繊維質の多い野菜、肉類などをしっかり噛み切れるため、食べる喜びが戻るという声も多く聞かれます。
食事内容が偏ることなく、栄養バランスのよい食生活が送れる点も大きなメリットです。
他の歯に負担をかけない
奥歯を失った際、インプラント以外の選択肢としてよく挙げられるのがブリッジです。
しかしブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って土台にするため、将来的にその支台歯がダメージを受けるリスクがあります。
一方、インプラントは独立した1本の人工歯根で成り立つため、周囲の歯に負担なく治療が完了します。
他の歯を守りながら機能を回復できる点で、インプラントは将来的なリスクを減らせる治療法といえます。
骨が痩せるのを防ぐ
歯を失うと、その歯が生えていた部分の顎の骨には咬合による刺激が伝わらなくなり、次第に骨が吸収されていきます。
これを骨吸収と呼びますが、時間の経過とともに顎の形が変わり、顔貌の変化にもつながります。
インプラントは、天然歯と同じように骨が刺激を受けるため、骨吸収が進むのを防ぐ効果があります。
特に奥歯は咬合力が大きく加わる部位であるため、インプラントによる骨保持効果は非常に大きいとされています。
長持ちする
インプラントは、他の補綴治療と比べて長持ちすることが特徴です。
ブリッジや部分入れ歯の場合、数年〜10年程度で再作製や調整が必要になることが多いですが、インプラントは定期的なメンテナンスを行うことで、10年以上使用できるケースも多数あります。
なかには20年以上問題なく機能している例も報告されています。
もちろん、日々のブラッシングや歯科医院でのケアは欠かせませんが、それを怠らなければコストパフォーマンスの高い治療といえるでしょう。
「一度しっかり治して、長く安心して使いたい」という方にとって、インプラントは良い選択肢です。
奥歯のインプラントの
費用相場

奥歯のインプラントにかかる費用は、1本あたり35万〜50万円程度が一般的です。前歯との費用差はほとんどないのが一般的です。
内訳としては、インプラント本体の費用、手術費、上部構造、検査料、薬代などが含まれます。
ただし、骨造成を伴う場合は、さらに10万〜30万円ほどの追加費用がかかることもあります。また、奥歯の場合は、まれに2本のインプラントで1本の奥歯を支える必要が生じることもあるので注意が必要です。
自由診療であり、医院ごとの価格設定や使用する素材によって差があるため、事前にしっかりと見積もりを確認することが大切です。
インプラントの費用相場について奥歯にインプラントを
入れられない、
または注意が必要なケース

- 咬合圧が強い
- 歯ぎしり・食いしばりをしている
- 骨の量が足りない
咬合圧が強い
咬合圧が人より強い方は、インプラントに大きな負担がかかるため注意が必要です。
奥歯はもともと咬合力が強くかかる部位ですが、それに加えて特に噛む力が強いと、インプラント体や上部構造に破損が生じるリスクが高くなります。
加えて、インプラントは天然歯と異なり歯根膜がないため、衝撃をそのまま受けやすい性質があります。
こうしたケースでは、咬合力を分散させるために複数本のインプラントを入れる、咬合面を調整する、または夜間用のナイトガードを併用するといった対策が必要になることがあります。
歯ぎしり、食いしばりをしている
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方も、インプラントにとって大きなリスクとなります。
これらの習慣は、無意識のうちに強い力が継続的にかかるため、インプラントが骨にしっかり結合していても、脱落や破損を引き起こす可能性があります。
特に、夜間の歯ぎしりは本人が自覚していない場合も多く、事前の診査でチェックされることが一般的です。
もし歯ぎしりや食いしばりが疑われる場合は、治療後にナイトガードを使用することで、インプラントへの負担を軽くすることが可能です。
また、ストレスとの関連も深いため、生活習慣の見直しやカウンセリングがすすめられることもあります。
骨の量が足りない
インプラント治療において特に重要なのが骨の状態です。
奥歯を失ってから時間が経過している場合、顎の骨が吸収されてしまい、インプラントを十分に支えるだけの骨量が確保できないことがあります。
このような場合には、骨造成手術を行い、骨を移植して骨の厚みや高さを補う必要があります。
奥歯の場合、上顎では上顎洞、下顎では下顎管との距離が問題となることがあり、安全にインプラントを埋入するためには、CTによる診断が欠かせません。
骨造成を行う場合、治療期間が数ヶ月〜半年ほど延びることがありますが、安全性と成功率を高めるためには必要な治療といえます。
上記に当てはまらなければ
治療の適応である
可能性が高い

前章でご紹介した注意点に該当しない場合は、奥歯へのインプラント治療は高い確率で適応されるといっていいでしょう。
まずは歯科医院で検査とカウンセリングを受け、ご自身の状態を正確に知ることが大切です。
奥歯にインプラントは
メリットが多い

奥歯のインプラントは、単なる見た目を補う治療ではなく、食事の質、口腔内の健康、そして全身の健康にまで影響する大切な処置です。
ブリッジや入れ歯に比べて多くのメリットを持ち、長期的なコストパフォーマンスの面でも優れています。
奥歯が1本抜けただけだからと放置せず、早めにインプラント治療を検討してみることをおすすめします。
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セカンドオピニオンにも
対応しております
セカンドオピニオンとは、患者さんがより良い歯科治療を受けようとされる際に、複数の医師に意見を求め、今後の治療や医院選びの参考にしていただくことを目的とします。
当院にはセカンドオピニオンのご相談も多数ございます。
- 初めてのインプラントを検討している方
- 治療を引き受けてくれる医院が
見つからない方 - 使用中のインプラントの調子が悪い方
- インプラントのメーカーが分からず
困っている方 - 実績と医学的根拠に基づく
確かな治療を受けたい方 等
当院のインプラント総責任者・
担当医について

院長