
インプラントをしたら歯並びが悪くなったといった声を聞いたことはありませんか?
あまり多く聞く声ではありませんが、そのような声があることも事実です。
この記事では、インプラントと歯並びの関係性について詳しく解説し、治療の可否や注意点、そしてインプラントによって歯並びが悪くなる可能性とその対処法についてもご紹介します。
歯並びは常に変化している

私たちの歯並びは、実は日々少しずつ変化しています。
食事や会話、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりなど、日常生活の中で歯にはさまざまな力が加わっており、その影響で歯はわずかに動いているのです。
特に、加齢や歯周病などにより歯を支える骨や歯肉が減ってくると、歯の位置がより変化しやすくなります。
また、1本でも歯を失ったまま放置すると、隣接する歯が傾いたり、対合歯が伸びてきたりして、歯列全体のバランスが崩れることもあります。
こうした自然な変化によって、歯並びが変わることもあるのです。
インプラントと天然歯の違い

歯根膜がない
インプラントは天然歯とは異なり、歯根膜が存在しません。
歯根膜とは、歯根と歯槽骨の間にある繊維状の組織で、歯に加わる圧力を吸収、緩和しながら、微細な動きを可能にする役割を持っています。
矯正治療を行う時も、この歯根膜に力をかけて歯を動かします。
その場を動かない
インプラントは一度埋入すると骨としっかり結合して動かなくなります。
この動かないという性質は、咬合の安定にはとても有利ですが、一方で他の天然歯が少しずつ動いていった場合には、その動きと連動することができず、逆に歯並びの乱れにつながってしまうこともあります。
つまり、他の歯は少し動くが、インプラントだけは動かないという状態が、長期的には歯列の不調和につながる可能性もあるのです。
インプラントで
歯並びが変わる?悪くなる?

歯を失ったまま
長期間放置していた場合
初めの章で説明したように、インプラントが直接の原因でなくても歯並びの乱れにつながることが分かります。
インプラントを入れた後に歯並びが乱れる原因となりえるものは、その他にもあります。
歯を失ってから何年もそのままにしていると、歯を支えていた顎の骨が少しずつ吸収されてしまいます。
また、周囲の歯が空いたスペースに向かって傾いたり、対合する歯が伸びてきたりすることで、全体の歯並びや噛み合わせにズレが生じてしまいます。
このように歯列のバランスが崩れた状態でインプラントを埋入してしまうと、噛み合わせにも不調和が生まれやすくなります。
その結果、長期的には顎関節への負担や、他の歯への悪影響となることもあるため、歯を失ってから時間が経っている場合は、インプラント前に矯正や骨造成などを検討する必要があります。
リスクや影響
歯ぎしりや食いしばりの癖が
ある場合
無意識のうちに行っている歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に大きな力を加えるため、咬合バランスを崩す原因になります。
天然歯は歯根膜によってわずかに動きながら力を逃がしますが、インプラントは骨と直接結合しているため、強い力が加わっても動かず、その分他の歯に強い力をかけてしまう要因となります。
こうした力の不均衡によって、周囲の天然歯が移動したり傾いたりすることで、歯並びが悪くなることがあります。
噛み合わせの調整が
適切でない場合
インプラントの上部構造において、周囲の歯との高さや噛み合わせ、力のかかり方などを細かく調整することが必要です。
もしこの咬合調整が不十分な場合は、ある一部の歯だけに強い力が集中し、そこから歯列全体にゆがみが広がっていくこともあります。
位置が適切でない場合
インプラントの埋入位置は非常に重要です。
もし埋入の位置や角度が不適切だと、人工歯の並びが周囲の歯列と調和せず、結果的に歯並びのバランスを崩してしまいます。
特にスペースが限られている部位や、もともと歯並びが整っていない方に対しては、正確な診断と慎重なプランニングが求められます。
長期間使用するケース
インプラントは耐久性が高く、10年以上にわたって使用されることが一般的ですが、その間に天然歯は年齢や生活習慣の影響で少しずつ位置が変わっていきます。
その結果、治療当初は問題のなかった歯並びが、数年後に見た目や噛み合わせのズレとして現れることもあります。
インプラントは一度埋めると動かせないため、時間の経過とともに動く歯と動かない歯とのバランスが崩れてくるという点に注意が必要です。
その他のリスク、
インプラント周囲炎

インプラントを支える骨が、炎症によって吸収されてしまう病気がインプラント周囲炎です。これが進行すると、インプラント自体が不安定になり、隣接する歯の位置にも影響を与え、歯並びの崩れにつながる可能性があります。
また、骨が減ることで見た目にも違和感が生じることがあり、顔貌が痩せたようになり、バランスを崩してしまう要因になります。
インプラント周囲炎とは?インプラント後に歯並びが
悪くなった!矯正はできる?

固定源として使用できるケース
インプラントは骨と直接結合するため、動かすことができないという特性がありますが、それを逆手に取って固定源として矯正治療に使用できるケースもあります。
たとえば、奥歯のインプラントを支点にして、前歯を後方に引っ張るなど、歯列全体を整えるための土台として利用する方法です。
これは歯科医師の技術が必要になりますが、インプラントが安定していれば効果的な方法です。
すでにインプラントを入れていても、治療設計次第では力のかかる点として利用できる可能性があります。
複数本入っていると
難しいことがある
一方で、インプラントが複数本にわたって埋入されている場合、歯列全体を動かす自由度が制限されてしまうことがあります。
とくに歯列の左右や上下にわたって複数のインプラントが入っていると、動かせる天然歯の範囲が狭くなり、十分な矯正効果が得られない場合もあります。
不可能というわけではありませんが、多くのケースできれいに揃えたくても動かせないという状態になることも考えられます。
あくまでもインプラントの位置は
動かせない
どんな矯正装置を使ったとしても、インプラントは人工歯根であり、天然歯のように動かすことはできません。
つまり、歯並び全体の修正を考える上では、インプラントは動かせない障害物として存在することになります。
そのため、歯並びや噛み合わせに改善の余地がある場合は、インプラント治療よりも先に矯正治療を完了させておくのが良いでしょう。
インプラント治療の前に、現在の歯並びや噛み合わせの状態を総合的に診断してもらい、必要であれば矯正を検討することが、後悔しない治療計画につながります。
インプラントで歯並びが
悪くならないために
できること

定期検診でのクリーニング
インプラントを長く使い続けるためには、定期検診が必要です。
歯科医院では、インプラント周囲の清掃状態や歯肉の状態、噛み合わせに変化が出ていないかなど、さまざまな角度からチェックを行います。
特に噛み合わせの変化や、天然歯の移動による歯列バランスは、患者様自身が気づきにくいため、歯科医師の診察が有効となるでしょう。
異常を早期に発見できれば、小さな調整でトラブルを防ぐことが可能です。
自宅でのケア
インプラントはむし歯にならないものの、周囲の歯肉や骨は天然歯と同じように炎症を起こす可能性があります。
そのため、インプラント周囲の清掃を怠るとインプラント周囲炎となり、最悪の場合は脱落に至ることもあります。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシなどを使用し、特にインプラントと歯肉の境目を丁寧に磨く習慣をつけましょう。
歯科医師や歯科衛生士に、自分に合ったケアグッズを提案してもらうのもおすすめです。
噛み合わせの調整
噛み合わせは、インプラントを含めた全体の歯列バランスに大きく関わります。
どれだけ丁寧に治療しても、咬合の変化は時間の経過とともに生じてくるものです。
定期検診の際に噛み合わせのチェックと調整を受け、大きなズレとならないように、インプラントを含めた歯列全体の状態をより良く維持しておきましょう。 インプラント後の
メインテナンス方法とは?
インプラントで
歯並びが悪くなるケースは
比較的特殊

インプラントによって歯並びが悪くなるというのは、決して一般的なトラブルではありません。
ただし、歯を失ったまま放置した期間が長い、噛み合わせに問題がある、日々のケアを怠っている、などの要因が重なることで、インプラントと歯並びに良くない影響が出る可能性もあります。
不安がある場合は、まず矯正相談や噛み合わせのチェックを受けた上で、インプラント治療のタイミングを検討することが大切です。
インプラントについて
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(60分相談のご案内)
東京のインプラント専門家医 東京日本橋あさひ歯科では、インプラントに関する「60分相談(CT診断含む)」を実施しております。
当院では、しっかりとカウンセリングの時間を設けて患者さんのお話を丁寧に伺います。むりに治療を勧めることや、ご納得頂かないまま治療に進むことはありませんので、リラックスして何でもお尋ねください。
「信頼できるインプラントの専門家医の意見が聞きたい」、「インプラントが上手い歯医者を探している」、「他院でインプラントを断られてしまった」という方も、安心して当院にいらしてください。
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セカンドオピニオンとは、複数の医師に意見を求め、今後の治療や医院選びの参考にしていただくことを目的とします。
当院にはセカンドオピニオンのご相談も多数ございます。
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見つからない方 - 使用中のインプラントの調子が悪い方
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困っている方 - 実績と医学的根拠に基づく
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当院のインプラント総責任者・
担当医について

院長
藤井 政樹
東京医科歯科大学出身/
博士号取得ドクター
ITI公認インプラントスペシャリスト(認定医)
当院長はインプラント治療の専門家である『ITI公認インプラントスペシャリスト(認定医)』を有し、大学病院での研鑽と指導実績を持ちます。難症例にも対応可能な安全性・確実性を提供します。
インプラントに関してお困りの方は、安心して東京日本橋あさひ歯科にご相談ください。