インプラント治療を受けた後、噛むと痛い、違和感がある、何となく浮いた感じがするといった症状を感じる方は少なくありません。手術後の一時的な痛みであれば心配はいりませんが、数週間たっても痛みが続く、または噛むたびに違和感が強くなる場合は、何らかのトラブルが起きているサインかもしれません。
放置するとインプラントの周囲に炎症が広がり、最悪の場合、人工歯根が抜け落ちてしまうこともあります。
ここでは、インプラントが痛い、噛むと違和感がある原因と、そのまま放置してはいけない症状、そして正しい対処法について詳しく解説します。
インプラントの痛みが
正常か異常かを見極める
手術直後の痛みは一時的なもの
インプラント手術後、2日〜3日ほどは腫れや鈍い痛みが出ることがあります。これは、骨や歯肉に手術の刺激が加わったことによる自然な反応です。
鎮痛薬を服用すれば治まる程度で、1週間程度で落ち着くのが一般的です。
術後1週間〜10日ほどで抜糸を行う際、違和感が軽くなっていれば問題ありません。
長引く痛みは要注意
手術から2週間以上経っても痛みが続く、あるいは腫れが引かない場合は、感染や骨との結合不良が疑われます。
人工歯根が骨としっかり結合していないと、噛んだ時に動いてしまい、痛みが出ます。
また、細菌感染によって炎症が起きているケースもあるため、早めの診察が必要です。
噛むと痛い・違和感が
あるときに考えられる原因
噛み合わせが良くない
人工歯が高すぎたり、噛む力のバランスが崩れたりしていると、インプラント部に過度な負担がかかります。
特に、天然歯と比べてインプラントは感覚が鈍いため、違和感を自覚しにくく、知らないうちに炎症や骨吸収につながることがあります。
インプラント周囲炎
歯周病と似た症状を起こすのがインプラント周囲炎です。
インプラントの周囲にプラークが溜まり、細菌が繁殖することで歯肉が腫れたり、膿が出たりします。
進行するとインプラントを支える骨が溶け、最終的には脱落してしまう恐れがあります。
神経の圧迫や損傷
手術時にインプラントが神経に近すぎる位置に埋め込まれた場合、神経が圧迫されて痛みやしびれを感じることがあります。
これはインプラントの位置や角度が原因で、手術計画時の精密なシミュレーションが不足しているケースに多く見られます。
放置してはいけない
危険なサイン
痛みが徐々に強くなる
手術直後に感じる軽い痛みは自然な経過の一部ですが、数日から1週間ほど経ってから痛みが再び強くなってきた場合は要注意です。
これは細菌感染や炎症の進行、またはインプラント体が骨と結合できずに動いているサインの可能性があります。
ズキズキと脈打つような痛み、夜間に強くなる痛み、腫れや熱感を伴う痛みがある場合は、放置せず歯科医院を受診してください。放置すると歯槽骨の吸収が始まってしまうこともあります。
重度になるとインプラントの再埋入が困難になります。
歯肉の腫れや出血
ブラッシング時に血が出る、歯肉が赤く腫れているといった症状は、インプラント周囲炎の初期段階でよく見られます。
特に、インプラントの周囲は天然歯と比べて血流が少なく、炎症が起きても痛みが軽いまま進行することがあるため、見逃されやすいのが特徴です。放置すると歯肉の腫れが広がり、歯肉ポケットの奥にまで細菌が侵入します。
この段階で歯科医院を受診すれば、クリーニングや抗菌薬の塗布で改善できるケースが多いです。
ブラシを当てると血が出る、歯肉がぶよぶよしているといった兆候があれば、早めに対処することが大切です。
膿、口臭がある
インプラントの根元付近から膿がにじむ、または口臭が強くなった場合、細菌感染が進行しているサインです。膿は体が炎症を抑えようとする免疫反応であり、これ自体が悪いものではないのですが、炎症が強いサインだといえます。
この段階では、歯肉の内部や骨の中にまで炎症が及んでいることが多く、早急な洗浄や抗菌処置が必要です。
また、膿が出るような炎症が繰り返されると、インプラントの周囲骨が吸収して支えを失い、最終的には脱落してしまう恐れもあります。
特定の部位から異臭がする、噛んだ時に膿の味がする、歯肉から白い汚れのようなものがでるなどの症状は、早期受診のサインです。
インプラントが動く
インプラント体は骨と結合して初めて安定しますが、動くような感覚や噛んだ時に浮く感じがある場合、すでに結合が破壊されている可能性があります。
これはインプラント周囲炎の進行や、咬合力の偏りが原因となって起こります。人工歯が緩んでいるだけのケースもありますが、根本のインプラント体が動いている場合は、再治療が必要になることもあります。
この段階で放置すると、炎症が顎骨全体に広がり、再埋入が難しくなるばかりか、隣の歯にも影響することがあります。
わずかな違和感でも、一時的なものと判断せず、早めにレントゲン検査やCT撮影で状態を確認してもらいましょう。
噛んだ時の症状
食事中に、しみるような痛み、力を入れると痛むといった症状が続く場合は、噛み合わせのズレやインプラント体への過剰な力が原因の可能性があります。
特に新しい被せ物を入れた後に症状が出た場合、わずかな高さの違いでも炎症につながることがあります。
噛み合わせを調整するだけで改善できることもありますが、そのまま放置するとインプラントや骨に過度なストレスがかかり、長期的なダメージとなります。
顔の腫れ、熱っぽさ、リンパの腫れ
感染が進むと、顎の周囲や頬にまで炎症が及び、顔が腫れたり発熱を伴ったりすることがあります。
リンパ節が腫れて痛む場合もあり、このような症状が出たときは全身的な感染の兆候です。
早急に歯科医院または口腔外科を受診しましょう。
歯科医院で行う
治療・処置の内容
噛み合わせの調整
噛み合わせが原因の場合は、人工歯の高さや角度を微調整することで痛みや違和感が改善されます。
適切なバランスを取り戻すことで、インプラントへの負担が減り、長期的に安定します。
インプラント周囲の洗浄と薬剤治療
炎症や感染が見られる場合は、歯肉の内部を洗浄し、細菌を除去します。
必要に応じて抗菌薬を局所または内服で使用し、炎症の拡大を防ぎます。
骨や歯肉の再生治療
進行したインプラント周囲炎で骨が溶けている場合、再生療法によって骨を再生させる治療が行われることもあります。
早期に対応すれば、インプラントを残せる可能性が高まります。
撤去と再埋入
重度の感染や結合不良でインプラントが安定しない場合、いったん撤去して再治療を行うことがあります。
骨や歯肉の回復を待ってから新たなインプラントを埋め込むことで、再成功が見込めます。
インプラントの治療期間について自宅でできるケアと注意点
正しいブラッシングを続ける
インプラント周囲は天然歯よりも汚れが溜まりやすいため、歯と歯肉の境目を丁寧に磨きましょう。
フロスや歯間ブラシを併用し、プラークを残さないことが重要です。
うがい薬や洗口液を利用する
炎症を抑えるために、クロルヘキシジン系の洗口液を使用するのも効果的です。
ただし、長期使用は粘膜刺激を起こす場合があるため、使用期間は歯科医師の指示に従いましょう。
硬い食べ物を避ける
ナッツ、氷、スルメなどの硬いものはインプラントに過度な負荷をかけ、内部構造を損傷することがあります。
症状がある間は、柔らかい食事を心がけましょう。
気になる部位を触らない
痛みや違和感があると、舌や指で触って確かめたくなりますが、これが炎症の悪化につながることがあります。
インプラント部位に細菌が入り込み、腫れや感染を起こす原因にもなります。
気になる時ほど、むやみに触らず清潔を保ちましょう。
異変を感じたら早めに受診する
「痛いけれどもう少し様子を見よう」と自己判断で放置することが、トラブルを悪化させる原因です。
違和感や出血、腫れを感じた時点で歯科医院を受診し、原因を特定することが何よりも大切です。
インプラントの正しいケア方法とは?早期発見、早期治療で
インプラントを守れる
インプラントは適切なメンテナンスを行えば長期間使用できる治療法ですが、痛みや違和感を放置すると大きなトラブルに発展する恐れがあります。
手術後数日間の痛みは正常範囲でも、1週間以上続く場合や、違和感、出血、腫れがある場合は、必ず歯科医院を受診しましょう。
定期的なメンテナンスと正しいセルフケアを続けることで、インプラントを長持ちさせることができます。
気になる症状がある時は「そのうち治る」と我慢せず、早めの対応を心がけましょう。
インプラントについて
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総責任者・担当医について
院長
藤井 政樹
東京医科歯科大学出身/
博士号 取得ドクター
ITI公認インプラントスペシャリスト
(認定医)
当院長は、インプラント治療の世界的な専門家医とされる『ITI公認インプラントスペシャリスト(認定医)』を持つ歯科医師です。東京医科歯科大学歯学部附属病院にて最先端の治療の研鑽を積み、また、歯科医師の先生方に向けた教育・指導者としての役割を担ってまいりました。難症例を含む様々な相談実績、治療経験が豊富にございます。
当院では、通常では大学病院で行うようなケースにおいても、医学的根拠に基づき安全性・確実性を最大限に高めたインプラント治療を行うことが可能です。
藤井 政樹院長は、歯科医師人生の99%をインプラント治療に捧げてまいりました。それら経験を活かし、患者さん一人ひとりのお悩み解決に役立てるよう親身にお応えしております。
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