公開日:2024.07.08 最終更新日: 2024.07.26

歯周病治療

歯周病(歯槽膿漏)とは

歯周病(歯槽膿漏)とは?

歯周病とは、歯周病細菌の感染により、歯の周りの歯周組織(歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質)が炎症を引き起こしている病気の総称です。炎症が歯肉のみの状態を「歯肉炎」、炎症が歯槽骨や歯根膜にまで及んでいる状態を「歯周炎(歯槽膿漏)」と呼びます。

歯周病(歯槽膿漏)チェックリスト

  1. 歯磨きの時に歯茎から
    血が出ることがある
  2. 歯茎が少し腫れている
  3. 歯が長くなってきた
    (歯茎が下がってきた)
  4. グラグラ揺れる歯がある
  5. 疲れている時などに歯茎に
    違和感がある
  6. 口の臭いがなんとなく気になる
  7. しばらく歯科検診を受けていない
    (1年以上)

※上記の項目に1つでも心あたりのある方は、なるべく早めの検診をお勧めしております。

歯周病の原因と症状

歯周病の原因と症状

歯周病の原因は「プラーク(歯垢)」と呼ばれる歯の表面に付着している細菌叢(微生物の集団)です。しっかり歯磨きをしたつもりでも、歯と歯肉の境目に磨き残しがあると細菌が停滞し、歯肉の辺縁が炎症を帯びて赤くなったり、「腫れ歯肉炎」とよばれる歯周炎の前段階の状態になります。この段階で適切な治療を受ければ、歯肉を元どおりに治癒することができます。

しかし、ここから症状が進むと歯と歯肉の間の隙間(歯周ポケット)が徐々に深くなり、歯を支える土台となる骨(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになります。そして最終的には、歯が自然脱落してしまうのです。

歯周病と全身の
さまざまな健康との関連

歯周病と全身のさまざまな健康との関連

近年の研究では、歯周病菌が全身の様々な健康にも影響を及ぼすことが報告されています。特に糖尿病や動脈硬化の症状がある方や、妊産婦の方、ご高齢者は歯周病菌によるリスクを極力回避していくことが必要だと考えています。

糖尿病と歯周病について

生活習慣病の代表ともされる糖尿病と歯周病にも深い関連があることが分かっています。抵抗性が大きく関与しており、歯周病治療を行うことで血糖値が改善に向かったという報告も上がっています。

動脈硬化と歯周病について

歯周病菌が歯茎から血管内に入り込むと、心臓の周りにある血管の壁にはり付き、動脈が硬く狭くなるとされています。血流が悪くなることで、心筋梗塞や狭心症などを引き起こすリスクが高まる可能性があります。

妊産婦さんと歯周病について

歯周病菌による歯茎の炎症によって、サイトカインという物質が生じることがあります。このサイトカインが低体重出産の原因となる早産や胎児の成長不足などに影響を及ぼす可能性があるとされています。妊産婦の方や妊娠を望まれる方は、なるべく早めに歯科医院で検診を受けることをおすすめしております。

認知症と歯周病について

歯を失う原因として最も多いのが歯周病です。厚生労働省の統計によると、アルツハイマー患者のほとんどが歯が無くなっているという報告もあり、お口の中の環境と脳の働きとの関連性が分かってきています。

当院の歯周病の治療
について

衛生士と連携して歯周病の改善を
サポートします

歯周病は日々の生活習慣とも密接に関係しています。そのため歯周病の根本的な改善を図るためには、患者さんご自身に歯周病について正しく理解していただくことが重要です。正しい知識と理解のもと、毎日の食生活やセルフケアなどの生活習慣を振り返り、歯の寿命を縮めてしまう悪い習慣があれば、それを改善していこうとする強い意識が必要となります。

当院では、歯周病のない口腔環境をめざし、患者さんと二人三脚で健康なお口の環境づくりを行うことを大切にしています。お口の状態や治療による変化をお写真や画像でご覧いただきながら理解を深めていただいたり、歯周病リスクを高める生活習慣を一緒に見直していくなど、一人ひとりの患者さんに寄り添いながら診療を進めています。

治療をして終わりではなく、治療後においても定期検診や予防メインテナンスを通じて、末長くお口の健康づくりをサポートしていきたいと考えております。

歯周病の分類と治療法について

  1. 1. 歯肉炎
    (歯周ポケットの深さ1〜2mm)

    歯ぐきのみに炎症を起こしている段階です。痛みなどの自覚症状はまだほとんどありません。歯磨きの時や硬いものを食べた時などには出血しやすくなることがあります。

    治療法

    専門の歯のクリーニングでキレイな状態にしていきます。あわせて歯磨きなど適切なセルフケアの仕方についてアドバイスをさせていただきます。

    歯肉炎
  2. 2. 軽度歯周炎
    (歯周ポケットの深さ3〜4mm)

    歯槽骨(歯を支えている骨)が溶け出した状態です。歯磨きの時に出血したり、歯がうずいたり、歯ぐきが腫れぼったく感じるなどの症状を伴うようになりますが、一般的な初期段階では、まだ無症状なことがほとんどです。

    治療法

    専門の器具(スケーラー)を用いて、歯の表面や根の周りに付着したプラークや歯石をキレイに取り除きます。

    軽度歯周炎
  3. 3. 中等度歯周炎
    (歯周ポケットの深さ5~7mm)

    歯を支えている歯槽骨が1/3~2/3ほど溶けた状態です。水がしみる、歯磨き時に歯茎から出血する、歯茎が腫れたり治ったりの症状を繰り返します。歯が動揺(ぐらぐらする状態)しはじめ、膿(のう)が出たり口臭が強くなる場合もあります。

    治療法

    プラークや歯石の除去を行います。歯周ポケットの奥深くに付着した歯石除去には痛みを伴うこともありますので、その際は事前に麻酔を施します。症状によっては外科的な治療を行う場合もあります。

    中等度歯周炎
  4. 4. 重度歯周炎
    (歯周ポケットの深さ7mm以上)

    歯を支えている歯槽骨が2/3以上溶けた状態です。歯の周りを指で押すと白い膿がにじみ出て、口臭が強くなる場合があります。歯が動揺して硬いものが噛みにくくなり、歯磨きの際には頻繁に出血するようになり、放置してしまうと歯が自然に抜け落ちるケースもあります。

    治療法

    プラークや歯石の除去、外科的な治療を行います。状態が改善しない場合には、抜歯となるケースもあります。こうした状態になる前に、なるべく早めに検診を受けるようおすすめしております。

    重度歯周炎