公開日:2025.01.17 最終更新日: 2025.02.13

予防歯科

予防歯科とは

予防歯科とは

予防歯科は、痛みや腫れといった症状が出てから歯医者に行くのではなく、お口のトラブルを「未然に防ぐ」ことを目的とした診療です。毎日の適切なホームケアとあわせて、定期的に検診やメインテナンスを受けるために歯医者に通うことで、将来を見据えた歯の健康維持と全身の健康増進へとつなげていきます。

厚生労働省の調査によると、現在の日本人の80歳の時点での残存歯数は、1人あたりの平均で14〜16本程度です(参考:令和4年歯科疾患実態調査)。
親知らずを除いた成人の歯は28本ですので、80歳までに実に10本以上もの歯を失っていることになります。

一方で、国民の約9割が歯のメインテナンスのために定期的に歯科に通院している予防歯科先進国のスウェーデンでは、80歳時点での残存歯数は25本ほどと言われています。

かけがえのない
天然の歯を守るために

虫歯に一度なってしまった歯は治療で元の状態に戻るのではなく、あくまで人工物により修復された状態にあります。近年では人工歯の精度も飛躍的に向上していますが、それでもやはり、ご自身の天然歯に勝るものはないでしょう。

かけがえのない大切な天然歯を守るために、患者さんにお口の中の正しい管理方法を理解し実践していただき、将来を見据えた健康維持・増進のサポートをさせていただくのが予防歯科なのです。

予防歯科によるメリット

  1. お口のトラブルを未然に防ぐ

    虫歯も歯周病も早期発見と進行を抑制することが重要です。痛みを感じる前から定期的に検診を受けることで、お口のトラブルを予防することができ、また問題が大きくなる前に処置を施すことができます。

  2. 治療の痛みや費用を軽減する

    症状が重くなるほどに、治療にかかる費用や期間、処置に伴う痛みやストレスも大きくなってしまいがちです。予防歯科で早期発見につなげることで、ご自身のあらゆる負担を少なくすることができます。

    また、残存歯数の多い高齢者の方は「年間にかかる総医療費」が低くなることも明らかになっています。80歳で、残存歯数が20本以上の方の年間の総医療費は、残存歯数が0〜4本の方と比べて、17万円以上も低いというデータがあります。

  3. 歯を失うリスクを抑える

    同じ歯に治療を繰り返せば、その歯を失うリスクを高めてしまいます。また、歯を1本でも失うと残りの歯にかかる負担が増え、連鎖的に次の歯を失う可能性を高めてしまいます。予防歯科では、そうした再発のリスクを最小限に抑えることで、ご自身の大切な歯を長く保つことを目指します。

  4. いつでも気持ちの良い口内環境に

    歯科医院で専門的なクリーニングなどの予防ケアを受けることで、自宅ではどうしても取りきれない歯の汚れや菌を隅々まで落とし、ツルツルの歯を維持できます。歯のクリーニングは痛みや嫌なドリルの音もありません。サロン感覚で歯医者のメインテナンスに通われる方も増えています。

定期検診・予防
メインテナンスについて

定期検診・予防メインテナンスについて

定期検診ですること・基本的な流れ

まずは診察や検査を通じて、現状をしっかりと把握するところからスタートします。口の中の診査、レントゲン撮影、歯周組織検査、磨き残しのチェックなどを行います。磨き残しがある部分にはセルフケア指導を行い、専門的なクリーニングを行います。

その他、患者さんのご希望や必要に合わせて、噛み合わせの検査、顎関節の検査、口腔内写真の撮影、食習慣の確認なども行います。お口の中の状態の安定が確認できれば、メインテナンス期間へと移行します。

定期検診に通う頻度はどのくらい?

お口の状態にもよりますが、通常3~4か月に一回の検診をおすすめしております。痛みなどの症状がないうちから定期的にチェックを受けることで、異常があれば初期の段階で発見し、簡単な治療やケアで済ませることができます。

歯科衛生士とともに
親身にサポートします

当院では、一人ひとりの患者さんに合わせたオーダーメイドの予防プランをご提供できるよう、基本として「衛生士担当制」を採用しております。虫歯や歯周病を繰り返してしまう原因には、日頃の生活習慣や食生活などが関係していることが多く、根本的な治療と予防を行うためには、それぞれの患者さんに合わせたアドバイスやメインテナンスを行うことが重要なのです。

当院では、可能なかぎり患者さんごとに専任の歯科衛生士が担当していますので、相談もしていただきやすく、生活習慣なども踏まえて的確なアドバイスをすることができます。少しでも気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

GBT予防歯科システムで
健康な口腔環境を守る

GBT予防歯科システムで健康な口腔環境を守る

GBTとは

GBT(Guided Biofilm Therapy)は、虫歯や歯周病の原因となるバイオフィルム(歯垢)を効率的かつやさしく取り除くための、先進的な予防歯科システムです。従来の歯周病治療や歯面清掃とは異なり、予防歯科の先進国であるスウェーデンで採用されている、安全性と効果の高い最新技術を用いています。

日々のブラッシングだけでは取り切れないバイオフィルムに着目し、GBTでは専用の器械を使用して特殊なパウダー(※)を歯に吹き付け、やさしく効率的に除去します。この方法により、患者様の歯や歯茎に負担をかけず、快適で効果的な予防が可能となります。

(※エアフロープラスパウダー:食品にも使われる糖アルコールが主成分のパウダーです。)

GBTと従来のクリーニングの違い

歯や被せ物へのダメージを
最小限に抑える

本来の歯の表面
クリーニング前の本来の歯の表面
エアフロークリーニング後の歯の表面
エアフロークリーニング後の歯の表面
従来のクリーニング後の歯の表面
従来のクリーニング後の歯の表面

従来から広く使用されている超音波スケーラーなどのクリーニング器具には、歯やインプラントなどを傷つけやすいという課題がありました。特に、インプラントに傷がつくと耐用年数に影響を及ぼす可能性があり、歯の表面(エナメル質)に傷がつくと、痛みや虫歯のリスクが高まる恐れがあります。

GBTでは、これらの問題を解決するために、「エアフロープロフィラキシスマスター」という専用の器具を使用します。この器具は、歯に直接触れることなくバイオフィルムや歯石をやさしく除去するため、インプラントや天然歯、被せ物(補綴物)を傷つける心配がありません。また、患者様にとっても負担が少なく、快適な施術が可能です。

治療時間の短縮

GBTでは、バイオフィルムを染め出しで「目に見える状態」にしてから処置を行うため、従来のクリーニング方法と比べて、より正確で的確なケアが可能です。この視覚的なアプローチにより、患者様ご自身も問題箇所を把握でき、効果的なケアが実現します。

さらに、GBTでは必要な処置のみを行うため、治療時間が大幅に短縮されるのも特徴です。これにより、患者様への精神的・身体的な負担が格段に軽減され、より快適に施術を受けていただけます。

【従来品とAIRFLOW®の比較
(参考動画)】

バイオフィルムに着目した新しい
クリーニング法

バイオフィルムが虫歯や歯周病の主な原因になることは、近年の研究で明らかになっています。そのため、当院では従来のクリーニングで優先されてきた歯石除去に加え、GBTによる「バイオフィルム」に着目した予防ケアを行っています。このアプローチにより、より効果的で科学的根拠に基づいた専門的クリーニングが可能となりました。

GBTの重要性

虫歯の予防

  1. 虫歯になりやすい、歯の溝、歯の間の細菌を効率的に除去します。エアフローによる清掃の後、フッ素を塗ることで効果を高めます。

    バイオフィルムは目に見えにくいものですが、専用の染色法を使うことで簡単に確認でき、効果的に除去することができます。
    GBTを取り入れることで、むし歯や歯周病の予防がより簡単に、そして確実に行えるようになります。お子さまから大人まで、全ての方々の歯の健康をサポートします。

    口腔外科分野のスペシャリストが在籍

歯周病の予防

  1. 歯周病は循環器疾患や糖尿病などの全身疾患と密接な関係があることが報告されています。
    特に高齢者の場合、バイオフィルムが原因で誤嚥性肺炎のリスクが高まることも注目されています。

    GBTは歯肉溝まで使用可能なので、これらのリスクを軽減し、健康な口腔環境を保つための先進的な方法として、高い効果が期待されています。

インプラント周囲炎への予防効果

清掃前
インプラント周囲の清掃前
清掃後
インプラント周囲の清掃後
  1. インプラント周囲の細菌を効率的に除去し、周囲炎を予防します。エアアフローは、専用の低侵襲なパウダーを水と噴射し、セルフケアでは落としにくいインプラントと歯茎の隙間を、インプラント表面を傷つけることなく清掃します。

審美修復物を守るのに効果的

  1. 歯肉退縮は、審美修復物にとって大きなマイナスとなり、見た目に影響を与える可能性があります。
    GBT(ガイディットバイオフィルムセラピー)を活用することで、定期的にバイオフィルムを効果的に除去し、修復物周辺のステインや着色を防ぐことができます。これにより、審美修復物の美しさを保ち、長期間にわたって健康な口腔状態を維持することが可能になります。

    GBTは、むし歯や歯周病の予防だけでなく、審美的な結果にも大きな効果をもたらします。

矯正治療中のリスクを軽減

  1. 矯正装置を装着していると、日々のブラッシングだけでは磨きづらい部位が多く、バイオフィルムが繁殖しやすい環境になります。その結果、ワイヤーの摩擦やう蝕(虫歯)、歯肉炎などのリスクが高まることが指摘されています。

    歯のバイオフィルムとは、歯の表面に形成される細菌の集合体です。バイオフィルム(膜)が形成されると、付着が強固になり、抗菌剤が届きにくくなります。
    歯垢(プラーク)は、バイオフィルムの一種です。

    GBTで使用するエアフローとプラスパウダーを併用することで、従来の方法では清掃が難しかった箇所も効果的にケアすることが可能です。
    この方法は、矯正装置や歯を傷つけることなく、バイオフィルムをやさしく除去するため、矯正中の口腔環境を健康に保つための理想的なソリューションです。

子どもから大人まで対応可能

  1. GBTで使用される「エアフロー」は、歯や歯茎への負担を最小限に抑えながら、快適な施術を実現します。象牙質、エナメル質、セメント質、歯肉といった繊細な歯科組織を傷つけることなく、やさしくケアすることが可能です。この点は、従来のクリーニング方法にはない大きなメリットです。

    さらに、GBTは子どもから大人まで幅広い年齢層に対応しており、むし歯や歯周病の予防に高い効果を発揮します。特に、患者様の快適性を追求したシステムのため、歯医者でのクリーニングに苦手意識を持つ方でも安心して受けられる予防歯科の新しいスタンダードです。

GBTに基づいた
メンテナンスの流れ

  1. 診査とカウンセリング

    口腔内の状況を確認し、歯周組織の検査を行います。その後、カウンセリングを実施し、患者様の状態に応じてお口の中の詳細な検査を行います。最後に、洗口液を使用して口腔内を清潔に保ち、GBT施術の準備を整えます。

    診査とカウンセリング
  2. 染出し

    染出し液を使用してバイオフィルムを可視化します。染色後にバイオフィルムを効果的に取り除くことで、歯石の検出が容易になり、より正確な口腔ケアが可能になります。

    染出し
  3. メンテナンス方法の提案

    患者様に適した治療法を提案します。ブラッシング指導と歯ブラシ・フロスなど使い方の説明をします。

    メンテナンス方法の提案
  4. 歯肉縁上・縁下のエアフロー

    修復物、天然歯、インプラントには、エアフローを使います。14μmのエアフロープラスパウダーを使って、歯肉縁上、最深4mmまでの縁下のバイオフィルムを除去していきます。エアフローパウダーレモンを使い、エナメル質上に残っているステインを除去します。

    歯肉縁上・縁下のエアフロー
  5. 動画でより詳しく見たい方はこちら
  6. 歯肉縁下のペリオフロー

    歯肉縁下4mmから9mmまでの歯周ポケット内にあるバイオフィルムを除去します。天然歯の深いポケット・インプラント周囲粘膜炎・根分岐部にエアフロープラスパウダーを使用します。目盛りがついてあるペリオフローノズルを使用して、ポケットの深さを調べます。

    歯肉縁下のペリオフロー 動画でより詳しく見たい方はこちら
  7. スマートピエゾンとPSチップ

    最小侵襲性のPIEZON®機器を使い、残っている歯石の除去をします。歯肉縁上および縁下10mm までには、低侵襲なPIEZON®チップPS を使用します。10mm を超えるポケットの場合には、ミニキュレットを使用します。インプラント補綴周囲・修復物は、PIEZON®チップPI を使用します。

    スマートピエゾンとPSチップ
  8. 指差し確認

    バイオフィルムが残っていないかを最終確認します。歯石除去が完全にできたか確認します。齲蝕の有無を正確に診断します。歯面にフッ素を塗り保護します。

    指差し確認
  9. リコール予約

    お口の健康=QOLの向上です。リスク分析に従ってリコール時期を計画します。患者様に治療の評価してもらいます。

    リコール予約

GBTについてよくある質問

よくある質問

Q.どれくらいの頻度で行うのが
良いのですか?

A.メンテナンスでは汚れのつき具合や歯周病の程度などを考慮し年に2〜4回行います。

Q.年齢制限などありますか?

A.3歳から可能ではありますが、処置が上手にできるかにより変わります。

Q.保険適用はしますか?

A.当医院は保険内で診療を行っております。
詳しくは、当院へお問い合わせください。

Q.他院に通院してるのですが、
GBTだけお願いすることは
できますか?

A.保険診療による診査、診断を希望されない場合、自由診療となります。
また、ステイン除去を目的としたエアフローの清掃を希望された場合も、自由診療となります。

GBTを受けるなら、
東京日本橋あさひ歯科へ

いつでもご相談ください

  1. 従来のクリーニングでは歯磨剤による機械的な研磨が中心でしたが、GBTは虫歯や歯周病の原因であるバイオフィルムに注目したシステムです。このバイオフィルムが虫歯や歯周病の主な原因となり、歯を失う要因の70%を占める「感染症」を引き起こします。

    GBTは消毒剤や抗菌剤を使わず、特殊なパウダーを吹き付けることでバイオフィルムを効果的に除去します。痛みが少なく、歯を傷つけない優しい治療法です。

    当院では、患者様の健康を第一に考え、科学的根拠に基づいた最新の予防歯科システム『GBT』を導入しています。ぜひ一度お気軽にご相談ください。

    口腔外科分野のスペシャリストが在籍