インプラントを入れた部分の歯肉が、以前より凹んで見える、痩せたように感じる、あるいは隙間が目立つようになったという変化に気づくと、不安になる方は少なくありません。
さらに、その部分を指や舌で押すと痛みや違和感がある場合、歯肉や骨の健康に関わる問題が進行している可能性があります。
特に注意したいのはインプラント周囲炎です。
これは天然歯でいう歯周病のような病気で、炎症が骨にまで及ぶとインプラントの動揺につながり、最悪の場合は抜去が必要になることもあります。
ここでは、インプラント周囲の歯肉が凹む、痛む主な原因と、それがインプラント周囲炎のサインであるかどうかの見極め方、さらに予防と早期対応の方法について詳しく解説します。
歯ぐきが凹む、痛む主な原因
歯肉退縮
インプラント治療後、年月の経過とともに歯肉が下がる歯肉退縮が起こることがあります。
これは、毎日のブラッシング圧が強すぎる場合や、噛み合わせで特定の部位に過度な力がかかっている場合、さらには加齢による歯肉や骨の減少など、さまざまな要因で生じます。
歯肉が下がると、インプラントの金属部分や連結部が露出してしまい、見た目でなく、汚れがたまりやすくなり、炎症のリスクも高くなります。
骨吸収
インプラントを支える土台である骨が少しずつ減ってしまう現象を骨吸収と呼びます。 骨吸収はインプラント周囲炎による炎症が原因となることが多いですが、それだけではありません。
噛み合わせのバランスで一点に強い力がかかる場合や、被せ物の適合が不十分な場合、さらには骨代謝に影響する全身疾患や加齢によっても進行します。
骨が減れば、それに合わせて歯肉のボリュームも減少し、へこみや隙間が目立ちやすくなります。
インプラント周囲炎
歯肉が赤く腫れたり、軽く押すと痛みや出血があったりする場合は、インプラント周囲炎の可能性があります。
この病気は天然歯の歯周病に似ていますが、進行が早く、最悪の場合はインプラントの抜去が必要になることがあります。
膿が出る、口臭が強くなるといった症状が出た場合は、すでに中等度以上の炎症が進行しているケースが多く、早急な治療が必要です。
外傷や刺激
外傷によっても、歯肉に一時的な損傷やへこみが生じることがあります。
軽度であれば自然に回復しますが、繰り返し刺激が加わると慢性的な炎症や歯肉退縮につながります。
歯周病とインプラント周囲炎
の違い
構造と進行の違い
歯周病は、天然歯を支える歯周組織に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。
天然歯には歯根膜という膜があり、噛む力を吸収、分散するクッションの役割があるため、炎症や力の負担が骨に直接伝わるスピードは比較的緩やかです。
一方、インプラントには歯根膜がないため、炎症は直接骨に広がります。
その結果、骨吸収のスピードが早く、短期間で固定力を失うリスクがあります。
症状の違い
歯周病の場合、インプラントと比べると、歯肉の腫れや出血、歯の動揺、口臭などが比較的早い段階から現れます。
痛みを感じることは少ないですが、出血や歯のぐらつきで異常に気づくことができます。
インプラント周囲炎では、初期は見た目の変化や軽い腫れ以外に自覚症状が乏しく、痛みが出にくいのが特徴です。
症状に気づいた時にはすでに骨の吸収が進んでいることも多く、天然歯の歯周病よりも気づいた時には重度というケースが多く見られます。
治療、予防の違い
歯周病は、歯石除去や歯周ポケット内の清掃、場合によっては歯周外科治療を行いながら進行を抑えます。
天然歯は歯根膜があるため、早期発見できれば長期的な保存が可能なことも少なくありません。
インプラント周囲炎は、進行が早く骨の再生が難しい場合も多いため、予防が最重要となります。
毎日のプラークコントロール、正しいブラッシング方法、歯間ブラシ、タフトブラシの使用に加え、3ヵ月ごとの定期メンテナンスが必要です。
また、噛み合わせの調整やマウスピースによる力のコントロールも、天然歯以上に重視されます。
インプラントは大切に使えば90%以上の方が10年以上使えるというコストパフォーマンスの良い治療法です。
場合によっては20年以上使えることもあり、天然歯より長持ちすることもあります。
天然の歯が一番ではありますが、しっかり細菌感染を予防し、インプラントを長く使えるようにしましょう。
インプラント周囲炎の
サインと見極め方
見た目の変化
歯肉が赤く腫れている、もしくは部分的に痩せてインプラントの金属部やアバットメントが露出している場合は注意が必要です。
健康な歯肉は淡いピンク色ですが、炎症が起きると色が濃くなり、赤みや紫がかった色に変化することがあります。
また、歯肉の形が不揃いになったり、隙間が広がって見える場合も炎症の兆候です。
こうした変化は鏡で確認できるため、日常的にセルフチェックを行うことが早期発見につながります。
痛みや違和感
軽く押すと痛みを感じる、噛んだ時に違和感がある、インプラント周囲がむず痒いといった症状は、炎症の初期段階に見られます。
特に、痛みが強くなくてもなんとなく気になる状態が長く続く場合は要注意です。
天然歯と異なり、インプラントは神経が通っていないため痛みを感じにくく、炎症が進行しても自覚が遅れることがあります。
出血や膿
ブラッシングやフロス使用時に出血がある場合、それは歯肉の炎症によるものかもしれません。
さらに、歯肉から膿がにじむ場合は感染が進行しており、中等度〜重度のインプラント周囲炎である可能性が高いです。
膿が出る状態は、すでに骨にも炎症が及んでいるサインであり、早めの治療が求められます。
口臭の悪化
炎症や感染により細菌が増殖すると、口臭が強くなります。
インプラント周囲炎では独特の不快な臭いが出ることがあり、自分では気づかなくても周囲の人から指摘されることもあります。口臭が急に気になり始めた場合も、歯科医院でチェックを受けるタイミングです。
治療後の腫れはいつまで続く? 治療後の口臭について歯肉が凹む、痛む場合の
対応方法
早期の歯科受診
症状が軽い段階であれば、クリーニングや噛み合わせ調整、局所的な抗菌処置などで炎症を抑えられることがあります。
放置すると進行が早く、骨吸収が始まると治療が難しくなるため、違和感を覚えたら早めに受診しましょう。
噛み合わせの確認
インプラントに過剰な力が集中すると、歯肉退縮や骨吸収が加速します。
特に就寝中の食いしばりや歯ぎしりがある場合は、噛み合わせの高さや接触のバランスを調整する必要があります。
必要に応じて、マウスピースを作製してインプラントへの負担を軽くしましょう。
日常のケア見直し
硬い毛の歯ブラシや過度なブラッシング圧は歯肉を傷つける原因となります。柔らかめのブラシを使い、軽いタッチで磨くことが大切です。
加えて、インプラント周囲専用のブラシやタフトブラシ、歯間ブラシ、フロスを適切に使い分けることで、細部のプラークをしっかり除去できます。
生活習慣の改善
食生活や日常習慣もインプラントの健康に影響します。
硬いものばかり噛む習慣は避け、ビタミンやミネラルを含む栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
十分な睡眠やストレス管理も、歯肉や骨の健康維持に役立ちます。
インプラント周囲炎を
予防する方法
毎日のプラークコントロール
天然歯よりも細菌が付着しやすいインプラント周囲は、毎日の丁寧なケアが必須です。
歯ブラシでのブラッシングに加え、歯間ブラシやデンタルフロスで隙間の汚れを確実に落としましょう。
夜の就寝前は特に念入りに行うことが重要です。
定期メンテナンス
3ヵ月ごとに歯科医院で定期検診とプロフェッショナルクリーニングを受けましょう。
歯科のメンテナンスでは、日常のケアでは落とせないバイオフィルムを除去し、歯肉や骨の状態をレントゲンやプロービング検査で確認します。早期の異常発見にもつながります。
喫煙習慣の改善
喫煙は歯肉の血流を悪化させ、免疫機能を低下させるため炎症が治りにくくなります。
禁煙はインプラントの長期安定のために不可欠です。
インプラントの正しいケア方法とは?まとめ
インプラント周囲の歯ぐきが凹む、痩せる、痛むといった症状は、見た目の問題だけでなく、インプラントの健康寿命を左右するサインである場合があります。
特にインプラント周囲炎は放置すると骨の吸収が進み、治療が困難になります。少しでも異常を感じたら自己判断せず、早めに歯科医院で診断とケアを受けることが、インプラントを長持ちさせるための最大のポイントです。
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藤井 政樹
東京医科歯科大学出身/
博士号 取得ドクター
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(認定医)
当院長は、インプラント治療の世界的な専門家医とされる『ITI公認インプラントスペシャリスト(認定医)』を持つ歯科医師です。東京医科歯科大学歯学部附属病院にて最先端の治療の研鑽を積み、また、歯科医師の先生方に向けた教育・指導者としての役割を担ってまいりました。難症例を含む様々な相談実績、治療経験が豊富にございます。
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藤井 政樹院長は、歯科医師人生の99%をインプラント治療に捧げてまいりました。それら経験を活かし、患者さん一人ひとりのお悩み解決に役立てるよう親身にお応えしております。
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